2018年11月15日、突如、感染研がBSL4ウイルス(エボラ出血熱、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、南米出血熱)輸入の意向を表明した。

 BSL4ウイルス輸入に関しては、既に、2015年8月4日付の本ブログ記事『武蔵村山市長「村山庁舎のBSL-4施設の稼働は、やむを得ないものと判断する」』に、下記の記述を行っている。
「合意の翌日(8月4日)には、厚労省がエボラウイルスなど危険な病原体の輸入の検討を始めたことが報道された。オウム真理教の炭疽菌散布(1993年)によって日本はバイオテロ容認国とみなされ、1999年の米国議会で病原体やその遺伝子の分与禁止が決定されたが、バイオテロ容認国のレッテルは剥がされたのであろうか。市長コメントにある「国内にエボラ・ウイルス等の病原体がないため、現実的には、当面検査以外の業務を行う状況にないことを前提」の記述は、国内に輸入病原体があれば検査以外の研究業務を容認することを意味する。」

 BSL4ウイルス輸入によって、武蔵村山市民は、同ブログ記事の記述「BSL4施設の稼働期間は、首都直下地震の発生、重大事故の発生、新設BSL4施設への移転、または残り十数年の耐用年数経過までであろう。」における「重大事故の発生」確率が飛躍的に増大することに対する余計な覚悟が強いられる。

 2015年8月武蔵村山市がBSL4施設稼働を容認したことにより、感染研がなし崩し的に検査以外の研究業務を遂行することは容易に想定されたが、武蔵村山市以外の適地におけるBSL4施設の確保の検討を約束しておきながら、なぜ、オリンピックの開催まで2年を切った時点で、突如、オリンピック開催理由を持ち出して、BSL4ウイルス輸入の意向を表明したのだろうか。長崎大学のBSL4施設の建築工事を本年12月に開始するための陽動作戦か? はたまた、「BSL4施設計画の差し止めを求める会」が長崎大のBSL4施設計画内容の情報開示を求めて、長崎大と長崎県及び同市を長崎地裁に提訴する11月16日に狙いを定めた陽動作戦か?

 ここで、改めて、市長コメント「 大臣からは、会談の中で私が申し上げた要望事項に対する確認事項に沿って施設の運営を行うとの約束をいただき、特に施設で実施する業務は、感染者の生命を守るために必要な診断や治療等に関する業務に特化することや、国内にエボラ・ウイルス等の病原体がないため、現実的には、当面検査以外の業務を行う状況にないことを前提として、更に、当市以外の適地におけるBSL-4施設の確保について検討し、結論を得るとのお話もいただいたので、村山庁舎のBSL-4施設の稼働は、やむを得ないものと判断する。」を注意深く吟味すれば、下記の『
論理的推論』により、「感染研がBSL4ウイルスを輸入すれば、市長のBSL4施設稼働容認は失効する」ことを指摘しておきたい。


 『
BSL4ウイルスの輸入により、「国内にエボラ・ウイルス等の病原体がないため、現実的には、当面検査以外の業務を行う状況にないことを前提として」とする市長のBSL4施設稼働容認に対する前提が崩れるので、市長の判断村山庁舎のBSL-4施設の稼働は、やむを得ないものと判断する。」は無効となる。従って、感染研がBSL4ウイルスを輸入すれば、市長のBSL4施設稼働容認は失効する。』

 

 参考のために、2018年8月3日付の「厚生労働大臣確認事項」を下記に掲載する。

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             厚生労働大臣 確認事項

                                                                                             平成27年8月3日

                            厚生労働省

  1. 国立感染症研究所村山庁舎(以下、「村山庁舎」という。)の施設運営は、市民の安全・安心の確保を最優先に対応する。また、災害や事故に備えるため、国として、市や警察等の関連機関とも連携し、周辺住民に対する円滑な連絡や状況説明について、責任を持って対応する体制を構築するほか、このような市との連携も踏まえ、施設及び施設周辺の安全対策や事故・災害対策及び避難対応の強化を進める。

  2. 村山庁舎のBSL-4施設の使用は、感染者の生命を守るために必要な診断や治療等に関する業務に特化する。なお、制約なく研究目的で使用することに対する地域住民の懸念を払拭するよう、コミュニケーションを積極的に行いながらBSL-4施設を使用する。

  3. 村山庁舎の施設運営の透明性を確保するため、国立感染症研究所 村山庁舎 施設運営連絡協議会を継続して開催し、施設の使用状況を報告するとともに、施設見学会や説明会も継続的に実施し、積極的な情報開示や地域とのコミュニケーションを推進する。また、村山庁舎のBSL-4施設運営に当たっては、外部有識者を活用したチェック体制を確保する。

  4. 施設の老朽化も踏まえ、日本学術会議の提言等も参考にし、武蔵村山市以外の適地におけるBSL-4施設の確保について検討し、 結論を得る。
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