2015年9月武蔵村山市議会での天目石要一郎、籾山敏夫、須藤博各市議による感染研BSL4施設に関する質疑(Q)に対する藤野勝市長と比留間毅浩企画財務部長のサプライズ答弁(A)の要旨を下記に選別記述し、コメント(C)を付記した。質疑応答の詳細は武蔵村山市議会会議録{平成27年9月定例会(第3回)}に記載されている。

Q:市の要望書と厚労相の確認事項に齟齬がある。

A:確認事項の文言は分析していない。

C:合意文言無き合意!

Q:BSL4施設稼働容認の見返りは。

A:稼働容認は金目無しに堂々と行った。見返りは一切求めていない。
C:漏出病原体や有害化学物質による疾病補償は?

Q:市民の理解が得られたとの判断根拠は。

A:感染研見学者のうちアンケート意見記入者の7、8割が安全性を理解した。
C:BSL4施設見学と概要説明による安全性(危険性)の理解は不可能!
施設見学会(3回)の参加者は合計70名で、アンケート意見記入者は38名。安全性理解者は意見記入者の7、8割(~30名)で見学者の半数以下!
A:「感染研村山庁舎施設運営連絡協議会(感染研協議会)」での議論が整理された。
C:反対住民を一切の発言を認めない傍聴席に追いやり、反対住民の疑義を無視した感染研による一方的整理!
A:しののめ自治会と学園自治会が夏祭りに感染研官僚を招待した。

C:上記自治会の感染研協議会委員は30年に及ぶ市民の稼働反対運動を分断!
学園自治会長(感染研協議会委員)は第三回感染研協議会において、感染研協議会委員への「謝金の支払い(収賄)」を感染研に要求!
感染研は第四回感染研協議会において、「謝金の支払い(贈賄)」の決定を感染研協議会委員に回答!

Q:2015年6月市議会で継続審議になった陳情「BSL4施設の稼働停止の継続と移転を求める市の方針の堅持を要請する」や1982年6月市議会での市当局の約束「稼働協定の締結には、厚労省と市当局のほか稼働反対団体を加える」を無視しての市長の独断専行は市議会軽視である。
A:状況が大きく変わった。

C:市議会の事前承認は不要?法的安定性は!
市長の独断専行は独裁市政!

Q:厚生労働大臣確認事項はいつ受理したのか。

A:メモは8月3日、厚労省文書(8月3日付)は8月7日に受理した。

C:市議の一人は厚労省文書(8月3日付)のコピーを8月4日に市当局から入手!メモ=厚労省文書?

C:市議会での市当局の常套答弁「エボラ検体検査が陽性の場合、BSL4施設稼働が必要となる。」は下記の理由により虚偽である。
①海外のEVD治療現場での検体検査に用いられるRT-PCR法は、確定診断でのウイルスの有無、検体検査が陽性の場合の治療支援でのウイルス量の増減、および退院決定のためのウイルスの有無を短時間(数時間)で測定できる。RT-PCR法による検体検査は、検体処理過程の最初にウイルスを不活性化(感染の危険性が消滅)するのでBSL3・BSL2 施設で行える。
 感染研村山庁舎での確定診断も、BSL4施設を使用せずに、BSL3施設において RT-PCR法で行われている。エボラ検体検査が陽性の場合、治療支援や退院決定のための検体検査を RT-PCR法で行えば、BSL4施設の稼働は不要である。
エボラ検体検査が陽性の場合、ウイルス分離法を用いて治療支援や退院決定のための検体検査を行えば、ウイルス感染の危険性があるのでBSL4施設が必要となる。しかし、ウイルス分離法による検体検査は数日(一週間以上)かかるので、一刻を争うエボラウイルス病(EVD)治療現場での有用性に疑問がある。コンゴのEVD患者データの分析では「治療開始が1日遅れると死亡率が11%増加する」ことが示されている。
③エボラ検体検査が陽性の場合、活性ウイルスを用いた BSL4施設での基盤的研究(診断法の研究開発など)やワクチン・治療薬の研究開発を応急的に遂行することは不可能である。ワクチンや治療薬の開発は10年単位の時間と莫大な経費を要する。これらの長期的研究開発を立川断層に近接した人口密集市街地にある老朽化BSL4施設で行うことは危険であるから、研究開発のための最新の設備(スーツ型)を有する強固なBSL4施設を人家と活断層から十分に離れた安全な場所に新設すべきである。
 ちなみに、エボラウイルス病に対して開発が進められているワクチンや治療薬の幾つかは治療現場で試用され有望な結果が報告されているが、カナダ国立微生物学研究所で開発されたワクチンrVSV-ZEBOVは臨床試験で100%の感染予防効果が確認された。

NOTE:
2019年8月13日、WHOがエボラ治療薬2種類(REGN-EB3, mAb114)に「有効」(致死率半減)の判断を行った。